*生い立ちなど*
父親(ロベルトさん)
元レーサーの米伊ハーフでイタリア人。故人。
短気でキレやすいのが玉に瑕だが、普段はほがらかで人当たりがよい。
イタリアに料理研究に来ていたヒートの母親に
イタリアンらしくとりあえずナンパ。その後色々あって本気で惚れる。
しかし、彼女との結婚を所属チームのオーナーである兄に猛反対されたため、
悩んだ末に全てを捨てて二人で駆け落ち。
彼の母親の故郷である、アメリカの片田舎まで逃げ、
亡くなるまでは車の修理工として生計を立てていた。
兄と完全に決別するための交渉材料として持ちだしていた
兄と裏社会の繋がりを示す証拠を手に、車で警察に行く途中に・・・
母親(瞳さん)
日本人の料理研究家(志望)。故人。
料理研究のため訪れたイタリアの地にてヒートの父親と出会い、
ナンパを流暢なイタリア語であしらったことにより逆に興味を持たれて惚れられ、
色々すったもんだの末、最後には駆け落ち同然で結婚。
亡くなるまでは育児の傍ら料理研究の日々。
普段は冷静沈着、かつたおやかで優しい、料理上手の良妻賢母。
しかしキレると ヤ バ い 。
一人息子を隣家に預け、夫と共に警察に向かう途中で・・・
伯父(ガルシアさん)
父方の伯父。故人。
世界的ブランドの創始者一族の傍系。独身(離婚暦有り、子供なし)。
大変な資産家であり、様々な企業のパトロンであるセレブ。
モータースポーツ育成に力を注いでおり、自身も名門フォーミュラチームのオーナーである。
しかし輝かしい表の顔の一方で、裏社会との密接な繋がりも囁かれている黒い人物。
名門の出として厳しく育てられたためか、完全主義者。
感情を表に出すことはほぼなく、出す事も苦手な内向的性質。
抑圧され厳しく育てられた自分とは真逆に、
奔放に育てられ自由に生きる、自分に良く懐いた年の離れた腹違いの弟に対して、
憧れとも嫉妬ともつかない複雑な感情を抱きつつも可愛がっていた。
しかし、手塩にかけてレーサーとして育て上げてきた弟が自分に逆らい、
再三の忠告にもかかわらず、全てを捨て恋人と駆け落ちしたことにより逆上。
5年におよぶ説得も空振りし、
最終的に証拠と共に完全な縁切りを迫られた彼は、
自身の秘密と一族の名誉を守るため、事故に見せかけて彼らを・・・
フォーミュラ時代のライバル(マクシミリアンさん)
某ブランド創始者一族、本家筋の御曹司。本物の貴公子。
上品かつエスプリの効いた気まぐれなお性格。
ヒートから見ればイヤミでスカしたキザ野郎にしか見えない。
少年期にカートにハマる。将来の夢はF1レーサーだった。
遠縁にあたる少年の天才的才能を目の当たりにし、
(その頃は)子供らしい対抗心を燃やしていた。
青年期になるとカートの道はスッパリと諦め、セレブ実業家の道へ。
セレブな生き方も出来たのにそれを蹴り、
何をやってもそつが無く才能があるくせに
いつまで経っても精神的に幼いヒートを
『珍獣』と称して、それとなく生態観察するのが趣味。
…の割にはよくその存在自体を忘れる。
(…そんなコいたっけ?ああ、いたね。的な)
忘れたふりなのか、本当に忘れているのかは定かではない。
その一方で、レーサーとしてのヒートの才能を誰よりも認めており、
『珍獣』がいつダンス飽きて辞めてレーサー復帰しても良いように、
本業の片手間ながらも、ヒートのかつて所属していた
フォーミュラチームを管理、後にそのオーナーとなる。
ヒートが困った時には、『ペットのお世話』と称して
気が向けば影から手助けしている…あくまでも、『気が向けば』。
ヒートの不老不死性に気付いている内の一人。
そして、その事を気にしていない内の一人でもある。
(『珍獣』だよね、そういうトコロも。だけで済ませた。)
・・・大物なのか、バカなのか。
ヒート
アメリカの片田舎生まれの、日米伊クォーター。
日本語(微妙→フツー)・英語(ヘタ・訛る)・フランス語(大丈夫)・
イタリア語(問題なし)・所謂『モナコ語』(バッチリ)のマルチリンガル。
4歳の時に両親が車の事故で他界、父方の伯父を名乗る人物に
養子として引き取られる。
そこで、亡き父が車の修理工ではなく、かつてはレーサーだったことを知る。
自身もレーサーを夢見るようになり、養父の元で幼少のみぎりより
レーサーになるための厳しい英才教育を施される。
幼少期は『マ○ィアの子』と影で揶揄され寂しく孤独な日々を送る。
少し成長してからは、孤独の反動から逆に暴力的になり荒れた少年期を過ごす。
結果、友と呼べるものはなく、ますますカートにのめり込む。
子供心に養父たる伯父が黒い事がなんとなくわかるので、彼にも心を開けない。
(自分を金銭的には何不自由なく(どころかかなりセレブに)育ててくれる事、
レーサーとしての教育の機会を与えてくれた事に関しては感謝している)
そんな生い立ちのせいか、車以外の常識は壊滅的。
金銭感覚もセレブ過ぎるが故にトチ狂っている。
(というか金の心配をしたことがない。発想にない。
選ばれし雲の上の世界に住まう人。)
車にまつわる事以外は余り知らないが、少し練習すれば、
ほぼなんでもすぐに出来るようになる天才肌。
クルマ以外のお勉強は残念レベルだが、
勉強していないだけで、実はかなり頭もキレる。
身長こそ母親が日本人なせいか低めだが、レーサーとしては理想的。
加えてスタイルが良く、顔もそこそこイケている。
その上カネもある、とくれば相当モテるが本人は興味なし。
むしろカネ目当てで寄ってくるオンナは邪魔だとすら思っている。
レーサーとしては、父を遥かに凌ぐ比類なき才能を発揮し、
伯父のチームにてトップレーサーへの道を文字通り爆走していく。
しかし、短気で暴力的な性格が災いしてか、
チームメイトとの関係は徐々に険悪なものとなっていく。
(塵も積もれば山となる、小さな恨みの積み重ね)
青年期に入ると、彼に執着して何かに付けて拘束する伯父や
チームメイトとの確執が煩わしくなり、何事にも束縛されない生き方を望むようになる。
その結果、チームの移籍を決意。
周囲の猛反発をよそに、移籍先チームやスポンサーとの交渉を強引に進めてしまう。
そして、現チームからの参加としては最後のレースと決めていたあの日・・・
『3年前、
その事故はモナコで起こった!』
*事故の原因*
その事故は、起こるべくして起こった事故だった。
「伯父さんには感謝してる。オレをここまで育ててくれたし。
でも、伯父さんが色々悪い事してるの、オレ知ってるよ。
自由に生きたいんだ、自分の力を試してみたい。
伯父さんの力じゃなくて、オレ自身の力で生きていきたい。
だから、伯父さん。オレは移籍する。もう決めたんだ!」
(そんな勝手は許されない。
お前が抱いている自由など所詮幻想だ。
結局の所、『自由』なんてものはどこにもないのだよ。
お前を育てるのにどれだけのカネが動き、どれだけの者が関わっているか
全てを理解出来ているというのかね?
わからないだろう?ヒート…お前は無知だ、何も知らない。
まるでお前の父親…ロベルトと同じ、あの時と何も変わっていない。…そう、何も!
お前は所詮ロベルトの息子と言う事か、また私から離れていくというのか!
ヒート、お前に、自由などないのだ。私の元を離れるなど、許さん。…決して!)
-事態は静かに動き出す。
(そんな…勝手に移籍するだなんて!僕達に何の相談もなしに…
っ・・・大体、ヒートはいつもこうだ!
一人で決めて、一人でキレて!いつも一人で突っ走る!
君のクルマは誰が整備してると思ってるんだ?レースは君一人だけで戦っているんじゃない!
なのに、君は僕らの事を全然見てくれない…自分だけ、いつも自分だけだ!
自分が何でも出来るからって、自分が恵まれているからと言って!
レースは僕らにとっても『人生』なんだ!
それを自分勝手に奪うなんて…!許せない!絶対に!!)
-恨みは心を濁していく。
(!そ…そんな…!…クルマに、細工を…?
…できない!そんなこと出来ない!いくらなんでも…
っ…それは…、…恨んで、いるよ、アイツのことは…!
それでも…!それでもダメだ、そんな…!?
…少し、少しだけ…考えさせてくれ…)
-ある者は多額のカネをちらつかされて。
または弱みを握られ、家族をダシに脅されて。
『舞台』は着々と整っていく。
・・・そして。
『その事故は、モナコで起こった!』
起こるべくして起こった『事故』だった。
*事故後の状況*
・・・
事故の瞬間、燃える愛車の中で、意識の途切れる前に一つだけ。
覚えているのは、『死にたくない、生きたい』と、ただそれだけを強く願った事。
事故直後:
瀕死の重態で病院に搬送される。最早手の施しようのないレベル。
炎上する車に、何か眩い光が天から降り注いだ!…等という目撃証言が少数挙がったが
爆発時にフラッシュしたもの、または単に見間違いであると片付けられる。
事故後1日目:
全身の90%に火傷を負っており、生きているのが不思議な位。
ICUにて何とか生きながらえているだけの状態。
事故後2日目:
不思議と生きて『は』いる。意識は依然戻らず。
医者は見限り、回復を断念。生命維持装置を外す事を勧められる。
ヒートの代理人、養父であるチームオーナーに
連絡を取ろうとするも、何故か全く繋がらず途方にくれる。
・・・
だれか そこに いるの ?
事故後3日目:
容態は変わらず最悪の状況。
代理人、連絡の取れないチームオーナーに直接会うため、病院を離れモナコに。
とても やさしくて なつかしい ゆめをみていた
事故後4日目:
『事故』に関わった人物が、精神こう弱状態で次々と保護される。
何を聞かれても「・・・炎が・・・死の、炎が・・・」としか話さず。
おとうさんも おかあさんも あなたのなかにいるよ
ずっと みまもって いるよ
・・・
あいしてる ヒート
指先が、動いた。
事故後5日目:
ヤケドがものすごい勢いでかさぶたになる。医者も腰を抜かす。
事故後5日目にして奇跡的に意識が戻る。脳機能障害も特に見当たらず。
ずっと、何かの夢を見ていたような気がするが、思い出せない。
事故後6日目:
かさぶたが剥がれてキズ一つないキレイな体に。
もう要らねーからと点滴はずして、ヒマなので勝手にベッドを抜け出す。
やっべーカラダ萎えてる!
勝手に動いて怒られるも、信じられない事にすぐに動けるようになり
これまた勝手に帰る支度を手配しはじめる。
検温の結果、体温が43℃を超えて融け始める等の
異常性を示していたが、本人至って元気。
ナンだか分からないけどむしろ絶好調熱い!
精密検査を勧められるも拒否。
全然問題ねーっつーの!
治ったんだからこんなトコにいる必要ないだロ?早く出せヨ!
事故後1週間:
無事退院。
お近づきになりたいらしい看護婦どもが邪魔なので花束ごと燃やしてやった!
なんかわからねーけど火が出るようになってる!
ははっ!オレに近づくとヤケドするゼ!ホントにナ!!
モナコより戻ってきた代理人から、
伯父が原因不明の急性心筋梗塞で
3日前に即死していた事を知らされショックを受ける。
事故後1ヶ月:
相続などもようやくひと段落。
想像を絶する相続金額&自分がレースで稼いだ金で、
余裕で一生遊んでいけるどころじゃないくらいあるっぽい。が、興味湧かず。
未成年故、本家筋のツテで後見人を得て財産管理を丸投げ。
事故後初めてレース場に足を運んでみるも足がすくむ。事故の瞬間が脳裏に蘇る。
事故によりライセンスを剥奪され、移籍話も当然ポシャる。
元の所属チームも自分じゃ管理しきれないので、経営権は親族(元ライバル)の手に渡る。
売却する形を取ったため、またカネが増える。もういくらあるのかわからない。
レーサー復帰のためにリハビリを開始するも、
右目の動体視力だけが何故か極端に低下していることが判明する。
(一般人に比べれば全然イイのだが、レーサーとしては厳しい程度)
事故後6ヶ月:
思うようにすすまないリハビリに、将来を思い悩むようになる。
動体視力が戻る気配はない。事故のトラウマも消えない。
事故後11ヶ月:
相続のゴタゴタがようやくほぼ終結。
財産管理等は引き続き代理人たちにポイと丸投げ。
レーサー復帰を一時断念し、リハビリを中断する。
心が折れた。少しだけ休みたい。
思えば生まれてから、こんな風に一人で、自分の事考える時間はなかった…
そんな折、偶然、日本の観光パンフレットを目にする。
母親の生まれた国、日本に、行ってみようかな。
日本に淡い興味を抱く。
事故後1年:
観光目的で日本へ。
セマくてやたらペコペコしてヘンな国だナ!よくわかんねー。
あてもなく観光していたが、そんな時。
公園にて、なにやらぐるぐるマワって踊って?いる若者達に目を奪われる。
なんだ、この、ダンス・・・!
心が燃える
『踊れ』とナニカが告げている
なんでこんなにアツくなるのか、自分でもわからない!
(ナニカとは、その身に宿しグルーブトロン。)
たまらず、ダンスの切れ間に彼らに話しかけ、所謂ブレイクダンスの存在を知る。
こんなにオレを熱くさせてくれるモノが、クルマのほかにあっただなんて!
その後、のめり込むようにダンスの道へと傾倒する。
ヒタスラ踊りまくり、本場へ見に行ったり、ダンス漬けの日々を送る。
元々の身体能力・集中力の高さにくわえ、天才肌かつトロン持ちのヒートは
物凄い勢いでダンスの腕前を上達させる。
完全にハマり、この時だけはレースの事を忘れられた。
結果、はじめに話しかけたダンスチームに受け入れられ、そのクルーの一員となる。
過去の反省を多少は活かせたのか、
短気かつ常識壊滅なのが玉に瑕だが、
普段は冷静沈着でほがらか、人当たりも良く気前のいい人気者!という
美味しいポジションを手に入れ、初めて友と呼べる人間を得た。
今までがヒタスラ孤独だったためか、
反動から寂しがり屋のかまってちゃんとなり(本人は隠しているがバレバレ)
いつも誰かしらのダチとツルんで行動している。
どっか遊びに行ったりバカやったりすんのヤベー超楽しい!
オンナは相変わらず寄ってくるが、今はダチとダンスの方が楽しいし
鬱陶しいので、適時軽く焼いて追い払っている。
自分の全てをさらけ出せるような親友は、未だいない。
生い立ちが複雑すぎて重すぎる。
日本に着てからは、周囲には自分の過去を明かさなかった。
『あの』F1レーサーのヒートじゃないのか!?と言われた時には、
他人の空似とごまかし続けた。
ホントにあのレーサーのヒートなら、こんなトコで踊ってる訳ないじゃん!
超似てるって良く言われるから、そーゆーカッコしてオレもHEATって名乗ってるだけだゼ?
つーかオレ、ニホンジンだし?
ブレイクダンスに出会えて、はじめてのトモダチが出来た日本を
大変気に入り離れがたくなり、生活の拠点を日本に移し、ついには日本国籍を取得。
なんちゃってではなくて本当のニホンジンとなる。
(母親が日本人なので、本拠さえ移せば取得可能)
その頃より、職業『ダンサー』と名乗るようになる。
レーサー復帰への情熱はずっと心の内でくすぶり続けている。
自分が事故に見せかけて殺されかけた事を知っていれば、
諦める所の話ではなかっただろうが、幸か不幸か、彼はそれを『知らない』。
(実際にはもしかして、伯父さんたちが…と、薄々勘付いているが、
それを思えば辛くなるだけなので、出来るだけ考えないようにしている。)
-1年後。
ダンサーとして生まれ変わったヒートは、
トロン持ちダンサーとして、
1年で大分上達した自慢のダンスをひっさげて、
バスト1ダンスバトル大会へと赴く。
そして・・・
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